2010年11月16日火曜日

無心に

無心に生きる。昆虫画家、熊田千佳慕さんの特集をみた。昆虫を描き続けた一生。毎日虫と遊び、向かい合い、観察し、筆を動かした。彼は「昆虫は私で、私は昆虫だ」といい、昆虫の一生と自分を重ね合わせてみていた。昆虫は次の世代に命をつなぐその使命を果たすために無心で生きて死んでいく。生命のすばらしさを昆虫の中にみていた。老いていく昆虫、老いていく自分。老いてもまだ命が燃え続ける限り一生懸命に生きる。それが素晴らしいのだと。

97歳になった熊田さんは、長年取り組んでいるフンコロガシの作品に専念していた。目のつき方がうまくとらえられないと、葛藤しながらも楽しそうに見えた。
そして、彼はいつものように書斎に入り仕事机のうえで虫の夢を見ながら永遠の眠りについた。