2010年12月20日月曜日

食卓

長年よりそった夫婦。もくもくと夕食をとる。もくもくとスプーンをくちにはこぶ以外、とくに話すこともなく、食器のぶつかるおとが大きく響く。もう若いころみたいに「おいしいね」なんていわなくなった夫。妻だって「おいしいでしょ?」なんて確かめもしない。食事を終えて席を立つ夫にひとこと「薬のんだの?」。ただそれだけの食卓。

ダイニングから暖かな湯気とおいしいそうなスープの匂いが漂い、そこに2人が向かい合ってすわる。何とも言えぬ温もり。愛なんだよね、これが。

子供の顔

あっというまに年末だ。クレアが産まれて半年になる。

子供がみせる表情は、純真で無垢で本能そのままが写し出される。そんなコントロールされていない純粋な表情は決して大人にはできない。美しいと思う。成長するにつれて様々な複雑な表情をマスターするけれど、決して昔のその顔を再現することはできない。大人の顔は情報を刻みすぎてそのシワをのばすことができないの。せめて、そのシワが魅力的にうつるように、素敵な笑顔をこころがけたい。

2010年11月26日金曜日

傷ついた戦士

愛する人が深く傷ついて、悩んでいる姿を見るのはつらい。どうにかしてあげたい。どんな慰めの言葉も、無意味な乾いた音になって宙をまう。電話のむこうでその声は泣いているように聞こえた。もどかしいよ。こんなときは、そばにいてしっかり肩をだきしめてあげたい。また自信をとりもどし、笑顔で一歩あるきだすことができるように。

腰痛で

新宿のリハビリ整形外科に行った。腰が痛いということでレントゲンをとった。4枚。先生が私に写真を見せながら、「骨には異常はないですね。筋肉の炎症ですね」とおっしゃる。

初めて見た私の腰骨。かわいい。愛おしい。病院では実に多くの患者が腰が痛いだの、肩こりだの、膝がどうのということでリハビリをうけてる。肩こりの人は頭を天井から紐に吊るされてぐい〜っとひっぱられる、腰の人は腰紐にくくられてひっぱられる。 そんな人たちがずらっと並んでいるのを見てると、みんな骨に見えてきた。 お洋服を着ていても、シャネルのバッグをもっていても、みんなただの骨なんだと思った。

2010年11月16日火曜日

無心に

無心に生きる。昆虫画家、熊田千佳慕さんの特集をみた。昆虫を描き続けた一生。毎日虫と遊び、向かい合い、観察し、筆を動かした。彼は「昆虫は私で、私は昆虫だ」といい、昆虫の一生と自分を重ね合わせてみていた。昆虫は次の世代に命をつなぐその使命を果たすために無心で生きて死んでいく。生命のすばらしさを昆虫の中にみていた。老いていく昆虫、老いていく自分。老いてもまだ命が燃え続ける限り一生懸命に生きる。それが素晴らしいのだと。

97歳になった熊田さんは、長年取り組んでいるフンコロガシの作品に専念していた。目のつき方がうまくとらえられないと、葛藤しながらも楽しそうに見えた。
そして、彼はいつものように書斎に入り仕事机のうえで虫の夢を見ながら永遠の眠りについた。

2010年11月14日日曜日

ちゃんとやる

まだ5ヶ月の娘を保育園にやり、仕事もしないでいったい何をやっているのか?「いえいえ。私は仕事をやりたいので、今求職中なんです。失業保険ももらっているので、それで保育園の費用はまかなえるし」

家で育児主婦をしている人は本当に偉いと思う。昼間から公園でぷらぷらして、家でテレビみて旦那の帰りをまってるんだわと思っていたけど大違いですね。

私も、どうでもいいような仕事を無理矢理みつけて働くようなら、主婦業から逃げないでちゃんとやってみたらどうなんだ?何もかもいい加減では娘に示しがつかない。

子育てもちゃんとできないくせに働くなんて!!
最近あったちょっとしたことから、自己嫌悪ぎみだ。

あ〜お願いだからロタウィルスさん広がらないでください

2010年10月21日木曜日

ルミネの靴屋にはいる。というのも、私の履いていた靴に穴があいており、雨降りの本日、靴下までずぶぬれになり、かなり不愉快でみすぼらしい気分になったから。店の中を一通り見て回っていたとき、店のおやじ(全然おしゃれじゃない普通のおやじ)がグレーのブーツをもって近づいてきた。「あなたにはこれなんかいいんじゃない?サイズもこれでいいよ」何だこのおやじ!?と思いつつ試したところ、あっ。本当だ。ぴったりだ。でも、このおやじに勧められたからってすんなり買う訳ないでしょ!「他のもみてみます」と他のを試着するも、ふむ、、確かにおやじのおすすめにはかなわない。そう思うと、ますますこのおやじの見る目に関心し、ついついブーツを買ってしまった。そして、そのチョイスに今もまったく後悔はない。

このおやじは人を見ている。誰がきてもグレーのブーツを出すわけじゃない。この人にはこれ、あの人にはあれって人を見て判断している。

ただ、セールスのテクニックはいっかんしているようだ。ふらっとやってきて不意をつく。そして、あなたにはこれっというおすすめできる揺るぎない自信。

みんな「あなたにはこれですよ。」って言ってほしいんだなと思った。

2010年10月18日月曜日

夜が好きだ。夜のにおいが。
まだ覚えている。三歳だったあのとき、夜は一日の中で特別な時間だったことを。ママとパパの仕事が終わるのを待って、それから、氷の入った一杯の麦茶を手に持ちながら、ホテルの向かいの家へと戻る。空を見上げれば無数の星、星、ほし。

あの夜のにおい、麦茶の冷たさ、そして、草むらから止めどなく聞こえてくる虫の鳴き声。あれは素晴らしい夜のショーなんだ。体の芯から興奮がわき上がる。

ここじゃあ、虫の声も星の輝きもない都会だけど、夜への思いはかわらない。こんな素敵な夜を有り難うとただただ感謝する。今日も一日がんばったご褒美だ。

2010年9月28日火曜日

老い

吉本ばなながブログで、「結局年をとるということは、自分がどういうことを考えて生きてきたかということと、たったひとりで、向き合うということなんだな。」と書いている。

あ〜なるほどね

ママが同じようなことを言っていた。どんなにたくさんの家族に囲まれていても、歳をとると孤独でひとりぼっちになる気持ちだと。

なにか無性に書きたくて

子育てで家のなかにいることが多くなると、たくさん本を読む時間ができた。そして、自分でも無性に何かを書きたくなる。

子供は日々驚くべきスピードで成長する。数ヶ月前は無気力にぼーっと空を眺めていただけなのに、今では人の顔を見てはニコニコし、お歌をうたい、おもちゃを手にとろうとする。脳の発達がこうやって目に見えるのはすごいことだと思う。

赤ちゃんの脳が一番発達するのが歩き始める一才前後だということ、その期間に外からたくさんの刺激を与え、神経回路を強化するのがよい。

「いないいないばあ」ってのをやって赤ちゃんをあやしたりするけど、実はこれはある程度脳が発達しないと理解しないコンセプトなんだよね。これは「目に見えるものだけがすべてではない」と理解することなんだって。深いね